12月18日後場、東京マーケットは乱高下した。
12時30分からの日銀金融政策決定会合の結果発表が遅れ、
市場には「発表の遅れは金融緩和」という期待があり、
ジリジリと株価は買われていた。

そして、政策決定会合の結果発表が始まり、
日銀が発表したのは「当面の金融政策運営」と
「『量的・質的金融緩和』を補完するための諸措置の導入」と題した2枚のリリースで、
従来の金融政策を維持しつつ、ETFの買い入れ枠の新規設定などの補完措置を打ち出した。
12時50分、追加緩和維持の一報が伝わると、
日経平均は一時40円安まで売られ、
その後「異次元緩和の補完措置を導入」との続報が流れると、一転、株価は515円高まで急上昇。
しかし、その内容が精査されるにつれ、1時23分には下げに転じ、
引けは366円安の1万8986円とほほ安値で取引を終えた。

高値1万9869円、安値1万8982円と値幅887円の乱高下となった。

当初、市場は「現在の年間約3兆円の買い入れに加え、新たに年間約3000億円の枠を設け、
『設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業』の株式を対象とするETFを買い入れる」
という内容を好感したが、これに続く、
「新たな枠によるETF買い入れは、日本銀行が買い入れた銀行保有株式の売却開始に伴う
市場への影響を打ち消す観点から、16年4月より開始する」という文言。

要は、日銀が金融機関による株式保有リスクを削減するため、
02年から金融機関の保有株を買い入れており、16年4月から5年半かけて売却することになっていたのを、今回10年間に延長。
売却額は15年11月時点の時価ベースで年換算するとETF買い入れの追加枠と同額の3000億円。
需給的には「プラマイゼロ」。

需給的には「プラマイゼロ」だが、日銀は07年から、買い入れた株式の売却を始めたが、
「内外金融資本市場の状況等を踏まえ、現在は売却を停止」しており、
「買い方日銀」「株価が下がれば日銀が買い支える」という期待が相場の下支えとなっていた。

ところが、ETFの買い入れ追加枠も、
「日本銀行が買い入れた銀行保有株式の売却開始に伴う市場への影響を打ち消す観点から、16年4月より開始する」とあり、
実は、「売りを開始するための措置」と、とらえ、
将来的には「買い方日銀」から「売り方日銀」に方向転換してくるとの恐れからの、
ポジション変更、それに伴い、逆指値、ストップロスオーダー、トリガー作動、
アルゴ暴走などが絡み合って、暴騰、暴落の動きとなったのではないか?

筆者は消費税引き上げ前後まで「日銀が最後のカード」を温存するとみていたため、
今日の株価の上昇局面には驚き、「サプライズが来た!」と思い、買いそびれたと感じていたが、
15分後には売りそびれたと後悔した。
内容がわかるにつれ、「追加金融緩和なの?」「出口戦略なの?」と疑問を感じるサプライズとなった。

今回の措置は「黒田バズーカ」なのか?
「黒田バズーカ」が不発だったのか?
不発というより、空砲?
音を聞いて慌ててスタートを切ったが風船の割れる音で、
慌ててスタートラインに戻ろうとしたが、勢い余って戻りすぎたとみるべきか?
「最後のカード」はまだ温存してあるのだろうか?

投資家にとって「クリスマスケーキ」と思って箱を開けたら中には「イチゴ大福」
うれしいやら、悲しいやら・・・

今後のポイントは、市場が、「年間3兆円のペースで買い進めているETFも、将来的には売ってくる」と見るか?
「その売りを中和する措置」と見るか?
それにより、スタンスは大きく変わってくるだろう。

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